情死

Would you cry if I died Would you remember my face?

2023年5月27日

長い時間ブログを放置していた。仕事が忙しい。ありがたい限り。今日は父親の還暦の誕生日だった。朝から家族LINEが動いており、父親が全身赤い服を着た写真が送られていた。なかなか良いコーデでかっこよかった。父と母のツーショットの自撮りなども送られてきて、楽しそうで何よりだ。

 

今日は久しぶりに仕事のない日で、恋人が原宿へデートに連れ出してくれた。好きな画家の展示とライブペイントがあったので、それを一緒に観た。昔から変わらないテーマと画風なのに、色彩や筆のタッチ、表現方法に常に進化が見られて素敵な人だ。今回の作品も可愛らしく暖かく良かった。少女の一過性の切なさや美しさを超えて、人類の愛そのものを表現しているのではないかと思うほど描かれた少女のようなものが優しかった。この世に彼女の作品が生まれ続けることは世界に対する祝いである。

裏原を散歩して、思いがけない出会いもあった。ロンドンのぬいぐるみ作家によるぬいぐるみのポップアップがあった。家にある余った切布やボタンで作られたかのような温かみのある作品群で、モチーフになっている動物の愛らしさが溢れ出る空間で幸せだった。おしゃれでお茶目なぬいぐるみ、いつか家に迎えられたらいいな。

当初予定していた和食屋さんがまさかの土日祝日が定休日のスタイルで入れなかった。代わりに陽気なイタリアンレストランへ入る。ランチ営業だからか、表の看板に描かれた陽気さはあまり感じなかったが、落ち着いていて良かった。魚介のグラタンをいただく。チーズの香ばしさに魚の風味が味に奥深さを足して上品な美味しさで満足。サラダつきで1200円は安い。

恋人も今日はにこにこと楽しくお話しながら、街の気になる場面を写真で撮りながら歩いていて上機嫌で私も楽しい気持ちに引っ張られて、こうやって2人でお出かけできてよかったなとしみじみと感じる。彼の笑顔が好きだ。ずっと見ていたい。恋人と一緒のときに感じる自由で開放的な気分は私にとって必要な感情だ。忙しかったのだ、本当に最近は。この忙しさは当分続くだろう。

原宿は仕事柄よく行くのだけれど、彼と歩く原宿はなんだかいつもよりきらきらしていた。

 

家に帰る前に私は会社に寄った。終わらせたい仕事があった。会社に行くと男性社員が1人デスクに座っていた。別の部署の人なので何者なのか知らないが、比較的若い社員が多い会社の中でまあまあおじさんなので存在は知っていた。しかもいつも少し変な格好をしているので嫌でも目に付く。何者なのだろうか。今日はなんらかの動画を流し続けており、うるさく感じてしまったため最低限の仕事をしてそそくさと退散した。今日仕事をしていた同僚が一瞬、会社に戻ってきたのでお互いに休日もお疲れ様と言って別れた。

 

家に帰る途中、私は三大欲求の全てに襲われていた!恋人はベッドで読書をしていたので、読書を終えるのをじっと寝ているふりをして待っていた。実際に寝ようかと思ったが、悶々として眠れなかった。なかなか彼の読書が終わらない。読書の邪魔をするのは最もイヤな行為なので声をかけずに待っていた。小一時間そうして、恋人が本を閉じる瞬間を待っていた。そのときをすかさず狙って彼のボトムに手を掛ける。何も言わずに彼のものを勃起させてベッドに移動して、勝手に挿入して勝手に気持ち良くなって終えた。すっきりした。ディルド扱いしてしまった。ほとんどレイプである。罪悪感でその後、何度か大丈夫だったか確認したが、恋人はいつも通り、のらりくらりとしていたのでホッとした。みなさんは恋人にこのような扱いをしてはいけません。

 

夜ご飯を適当に食べながら、VTuberの配信を聞いた。恋人が寄稿している同人誌の感想を語るというので聞いていたのだが、あまり配信慣れしてなさそう?な人でこっちがドキドキしてしまった。聞いているうちに彼女のキャラクターを飲み込んできて、普段からこのスタイルなのだとわかった。合同誌になるため、いろんな作者の作品が載っていて全ての人にコメントをしていた。恋人の作品はどんな感想を述べるかわくわくしていたが、当たり障りない話で終わった。恋人の作品に対する感想は誰が語っても曖昧な内容で「難しかった」「よくわからないけどよかった」みたいな発言でまとまってしまう。恋人の作品が正当に評価されるといいのに。確かに彼の作品は初見には取っ付きづらいかもしれない。具体的な意味、日常の中の感情、世間の文脈を無視して隠喩と象徴で作り上げるスタイルはさらっと読むだけでは伝わり辛いのだろう。言葉、言葉、言葉、ひとつずつ紐解いていけば何も難しくない。ツイートを読むときの癖を取り払って、詩と向き合い、作品固有の時間の中に入り込めれば彼の詩の本髄に辿り着けるはず。言葉を丁寧に拾い上げて絵を描くように彼の描いた世界を自分の中に構築してみることが大事。今回の詩も素敵だったよ。

 

仕事の続きをしようと思うものの、全然進まない。いや、自分のやる気がない。明日こそはやらないとまずい。仕事が終わると仕事が始まる。ここ3ヶ月ずっとそんな感じで訳がわからない。しかし、すごく楽しい。向いていると思う。仕事をいただけることが何よりもありがたい。誰かに認められたい、そのために努力したい。ずっと抱いてきた感情を抑えることなく発揮できる環境が整っている。頑張らないわけにはいかない。妥協なんてしたくない。やるしかない。

「何者かになりたい」と若い頃は感じる人が多いと思う。そしてそのまま諦めてしまう人が大半だ。私は、諦めなかった。かなり幸運に恵まれた。この幸せを手放さず、無駄にせず、進み続ける。

 

恋人が今朝、こんなことを言った。「強い男は女を守るが、強い女は男を捨てる。いつか君も僕を捨てる。20年間実家で育てられ、20年間よその男に育てられ、40になって1人になる」。少なくとも40になるまでは一緒にいてくれる気なのかと思うと嬉しかった。私はあなたを捨てないよ。強い女にはなれない。私はしなやかな女になりたいと思う。あなたの笑顔をずっと見続けられるように。

 

あなたが私を女として見ないのが嬉しい。私は女ではなく、彼は男ではない。人間でもなく、ただ私とあなたが、まるでぬいぐるみのように何も考えずにそこにいる。そういう関係でいられるうちはずっと一緒にいられるだろう。誰にも理解されなくても。