2021年1月24日
前回に引き続き、サンホラの新譜に踊らされております。だんごです。こんにちは。
『絵馬に願ひを!』を聞くうえで、随所にちりばめられた神社、日本神話のネタを少し調べてみましたので、自分用にブログにまとめたいと思います。ネタバレありなので、お気を付けください。
※当然ながらここに書かれた内容はあくまで私の解釈であり、唯一の正解ではありません。また、本日時点での理解であるため、私自身の解釈も今後変わる可能性がございます。
■佐久夜姫子(さくやひめこ)
1.神
コノハナサクヤヒメ:本名は神阿多都比売(かむあたつひめ)
2.親
コノハナサクヤヒメの父親はオオヤマツミ。オオヤマツミの両親はイザナギとイザナミ! 伊坂那美さんとの血縁フラグですね。
コノハナサクヤヒメの母親についての記述は私が調べた限りでは、見つけられず、神話の中でも片親だったのかもしれません。
姫子ちゃんの母親は姫子ちゃんを産んだ際に亡くなったのではないかと曲中で分かります。(天使の彫像のメロディーが印象的です)
3.巫女
本名である神阿多都比売の名義は「神聖な、阿多の女性(巫女)」とされるそうです。
姫子ちゃんが巫女となる利用はここからかな。
4.住所
姫子ちゃんが持っていた絵馬は映し出されないため、住所がわかりません。
しかし、コノハナサクヤヒメは浅間神社に祀られる神のようで、富士山信仰と結びついている可能性があります。もしかしたら凪丘もとい静岡の人なのかも……?
5.咲く花や散りぬるを
コノハナサクヤヒメは絶世の美女のようで、天孫降臨したニニギに見初められます。ニニギが結婚を申し込むと、父親のオオヤマツミは姉のイワナガヒメも一緒に結婚させようしました。
コノハナサクヤを妻とすれば、木の花が咲き誇るように繁栄され、イワナガヒメを妻とすれば、岩のごとく頑丈になると父親は語ります。
しかし、イワナガヒメはとてもブスでありニニギのお眼鏡に適わず、コノハナサクヤのみを妻に迎え入れます。すると、父親は次のように語りました。
「ニニギ様のご子孫は木の花のように儚く散るでしょう」
これが神(皇族)の寿命の所以らしいのですが、姫子ちゃんの歌詞はこの話から引っ張ってきていると思います。
6.皮肉
コノハナサクヤは産屋に火を放って出産をしたとされています。命がけで出産をし、子を生したことより、安産祈願なので有名のようです。
絵馬での姫子ちゃんは生命の営みを美しいと思わない、生まれたことを喜べないキャラクターとして描かれています。キャラクター造形に皮肉を感じてしまいます。
(それか、コノハナサクヤヒメ以外の神がモチーフとして使われているか)
■伊坂那美
1.神
2.流産
伊坂那美さんは子を産むことを強く望みながらも流産に苦しむ女性として描かれています。
日本神話でのイザナミもまた、流産を経験しています。一人目の子どもは水蛭子(ヒルコ)、次の子は淡島(アワシマ)。どちらも健常児として生まれてこれなかったため、葦舟に乗せて川へ流しました。
これは絵馬の中での伊坂さんと大きく重なりますね。
3.死因
贖罪と《焔》の息吹ルートでは、子どもを出産し伊坂さんは亡くなられてしまいます。「下腹部が燃えるように熱い」という歌詞が強いインパクトを残しますが、これも日本神話がベースになっているように思えます。
イザナミは火の神を産み、その際に女陰に大やけどを負ってなくなります。火の神の名はヒノカグツチです。
伊坂さんが最期に「おはよう、ほむら」と言い、画面には焔が映し出されます。
4.内縁の夫
イザナミのパートナーと言えば、イザナギですね。彼らの会話で有名なセリフがあります。
イザナミの死後も彼女のことが忘れられないイザナギは黄泉の国へ行こうと試みます。妻と会った後、黄泉の国から帰る際にイザナギはイザナミに「私の姿を見ないでください」と言われます。が、イザナギは振り返り、妻の姿を見てしまう。
このことに怒ったイザナミはイザナギを追いかけますが、なんとかイザナギは地上へ戻りました。そして二人は次のような会話をします。
イザナミ「これから毎日、あなたの国の人間を1000人殺そう」
イザナギ「それなら俺は毎日1500の産屋を建てよう」
このセリフ、贖罪と《焔》の息吹にて内縁の夫が言っている台詞にそっくりですね。
なので彼はイザナギ、伊坂渚(適当)とかって名前なんでしょうねえ。
5.ほむら
日本神話の中では、イザナギはイザナミを殺した息子であるヒノカグツチに怒り、息子を十拳の剣で殺してしまいます。
父親による息子の斬殺……。なんだか、少年のことを連想させられます。
もし、ほむら=「生きているのはボクだけなんだろ?」を歌う少年だったとしたら、ほむらは父親から酷い虐待を受けていたのかもしれません。
6.八雲県杉浦市
出雲と言えば当然、島根県ですね。
イザナミを祀る神社は多くありますから、島根県だけ絞れても舞台が分からない。
杉浦がどういう意味なんでしょうか。杉が有名な神社があるのかしら、杉の裏にイザナミを祀る社があるとか。
気になるのは黄泉比良坂と関係が深い揖屋神社。松江市にあるそうです。
■天野宮比
1.神
2.アイドル
アマノウズメは天照大神が天岩戸へ隠れた際に、岩戸の前で踊った話が有名です。
アメノウズメがうつぶせにした槽(うけ 特殊な桶)の上に乗り、背をそり胸乳をあらわにし、裳の紐を女陰まで押したれて、低く腰を落して足を踏みとどろかし(『日本書紀』では千草を巻いた矛、『古事記』では笹葉を振り)、力強くエロティックな動作で踊って、八百万の神々を大笑いさせた。*
このことより、「芸能」の神として広く知られています。アイドルに憧れてTVの前で振り付けを真似て踊っていた宮比ちゃんの描写はここから来ているのではと思います。
3.幼馴染
天孫降臨にて、ニニギが天下ろうとした際、行く手を遮る神がいました。光り輝くその神はサルタヒコです。天照大神の命により、アマノウズメがサルタヒコを脅し、サルタヒコの道案内でニニギは日向の高千穂まで行きました。この際にアマノウズメもお供していました。
その後、アマウノウズメはサルタヒコの妻となったという説があり、現在も二人を共に祀る神社があるようです。
アメノウズメは猿田毘古神の名を明かしたことからその名を負って仕えることになり、猿女君の祖神となった。一説には猿田毘古神の妻となったとされる。*
ですので、宮比ちゃんの幼馴染の一人は、犬彦(※犬彦とサルタヒコについては次項を確認してね)ではないかと私は考えています。
もう一人の幼馴染、ありかについては調査中です。
個人的には姫子ちゃんが幼馴染だったら楽しいのになあと思いますが、どうでしょうねえ。
■猿田犬彦
1.神
サルタヒコ
2.見た目
犬彦くんは赤髪、赤目が特徴的ですが、サルタヒコの見た目について以下のような記述があるそうです。
『日本書紀』では、その神の鼻の長さは七咫(ななあた)、背(そびら)の長さは七尺(ななさか)、目が八咫鏡(やたのかがみ)のように、また赤酸醤(あかかがち)のように照り輝いているという姿であった。*
3.バイク
邇邇芸命が天降りしようとした際にサルタヒコが道案内をしたことから、「道開き」「交通安全」の神として現在知られているらしい。調べてみると実際に自動車などの安全祈願が行われているようでした。
犬彦くんがバイクを乗っているのは、交通安全と関係するのかも。
(私はまだ遭遇できていないのですが、犬彦くんが交通事故に遭遇するルートも存在しているそうです…)
4.猫
京都府京丹後市峰山町にある金刀比羅神社の境内にて木島社と猿田彦神社が同居しており、そこには狛猫がいるそうです。猫推しはここからでしょうかね?(もっと他にも意味がありそうですが)
狛猫はとても珍しいそうで、見てみたいですね。可愛らしいお姿です。
余談ですが「猿」田「犬」彦の「猫」の話って動物が渋滞してて面白いですよね。「犬」の理由もあるんだろうけど、今はまだ分からない。
5.須久奈キャットクリニック
「須久奈」はスクナビコナがベースとなっているようです。
スクナビコはオオクニヌシのパートナーとして国造りに励みました。医学の神様のようです。クリニックの名前にぴったり。とても体の小さな神様なんだそうです。
スクナビコナは、国造りの協力神、常世の神、医薬・温泉・禁厭(まじない)・穀物・知識・酒造・石の神など多様な性質を持つ。*
犬彦くんの住所ですが、まだ場所を未確認です。
宮比ちゃんと同じ区であり、歌詞の中で登場する少年のアイコンが西風と恋果てで共通するので、彼らは幼馴染なんだろうと考えています。
サルタヒコとアメノウズメが結婚したという説もありますので、宮比ちゃんの片思いの相手であろう男性は犬彦くんでしょう。
Revoさんのインタビュー記事より、以下のように語っています。
今回はパラレルワールドとは言え現代の日本が舞台です。聴いて下さるみなさんもかなりリアルに想像ができてしまう。そういうことを考えると、神社は何系の神社で、どういうご神体を祀っていて、登場人物たちはどこに住んでいて、どこの小学校からどこの中学校に進学して、家からその学校に行くまでにどのバスに乗って何分かかる……みたいなことまで、曲を作り始める前にある程度は構築しておきたかった。*
ですので、この二人の神が祀られている神社を当たっていけば自ずと舞台がどこかわかるとは思うのですが、いかんせんいろんな場所にあるのでもう少し調査したいです。
「凪」は風がやんで、波がなくなり、海面が静まることを意味する言葉なので、「凪丘」は「静岡」の言いかえではないかも考えられますが、まだまだ調査中。
■結
いろいろ探してみたものの、神社関係者さんが何者なのか、全く分からず。そのほか狼欒神社の名前の由来なども未確認なので、これからもう少し調査の旅に向かいます。がんばろ~!