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情死

Would you cry if I died Would you remember my face?

2015年12月16日

思い出。

私は夜風に当たろうと外へ出た。白熱灯が照らす、玄関前の階段に腰を掛ける。湖が近いこのガレッジの周りは、昼間も木々が萌えて爽やかな景色であったが、夜もまた静寂で神秘的な魅力があった。星を観に行くと言って、はしゃぐ部員たちがカメラを持って、わらわらと歩いていった。すぐそばでは、男女が何やら親しげに話している。私は、目を閉じてこの晩を振り返った。私にとって初めての夏合宿。毎年恒例の飲み会があるのだ。学年別に席に着き、おつまみと酒が各机に並ぶ。こんなに酒を飲んだのは初めてであった。先ずは、安い缶チューハイ。ザッと5本程飲んだ筈だ。私は調子に乗っていた、いや、焦っていたのだ。机を囲む同期と仲良くしたいのだが、話が盛り上がらなかった。その席には、同じクラスのMさんもいた。しかし、上手く歩み寄ることは出来なかった。人狼をする流れとなった。それは大変愉しかったが、終わると再び、ぎこちない空気が漂う。場が盛り上がると共に、同期の中には、先輩の席へ行く者もいた。その席は大いに盛り上がっていた。見ているだけでも愉快であったが、私には其処へ移るだけの器量は無いと分かっていた。我々の中にはまだ未成年者も居り、酒に手を付けない者もいた。それでも、彼女らは彼女らでグループを作り、恋愛話に花を咲かせていた。なんとか愉しい空気に混じりたいと思い、ワインを飲めと煽る先輩に煽られるままワインを飲んだ。がぶがぶ飲んだ。しかしそれも意味を成さず、段々と、机の端へ追いやられていた。私だけではなく、Kさんも一緒であった。彼女とは、今回の合宿では同じ部屋になったこともあり、よく行動を共にしていた。私は、Kさんと話した。うむ、全く面白くない。私は徐々に悲しくなってきてしまった。Kさんと気まずい沈黙を過ごしていたら、全部員と酒を飲みたいという男がこの机に来た。1つ2つ話をしたが、これも盛り上がらずすぐに彼は席を離れた。そして、今に至る。飲み過ぎた。意識が朦朧として、このまま居眠りしてしまいそうだ。夏にしては冷んやりとした空気が頰を撫でる。ぐったりと頭を垂れている私に、Kさんはもう寝ようと声を掛けた。そうだねと言って私は立ち上がった。寝る前にトイレに寄るから、先に言ってて。私はそう言って彼女を部屋へ行かせた。私は酔っ払いの足取りでトイレまで行き、今日飲み食いした全てを吐いた。酒で吐いたのは、これが初めてであった。こんなに虚しいことがあるのか、今の私ならそう思い泣くだろう。しかしその時は只々気分が悪くて、胃の中を全部出すことしか考えられなかった。よく口を濯いで、ふらふらと部屋に戻る。寝ている間に吐き気を催すかもしれないと思い、自分の布団のすぐ脇にビニール袋を用意して寝た。死ぬように、寝た。